印刷したら色が違う?~同じ色は作れない?~
印刷の色味についてのブログ第2回目になります。
「以前と同じデータを使っているのに、印刷所を変えたら色が違う!」という経験はありますか?
実はそれ、当たり前なんです。
データが悪いわけでも、印刷会社が悪いわけでもなく、印刷の色は変わってしまう性質をもっています。
今回はそんな『印刷機器・用紙による仕上がりの違い』についてご紹介させていただきます。
目次
- 第1回:色の見え方の違いについて
- 第2回:印刷機器・用紙による仕上がりの違いについて
- 01.同じ色は作れない?
- 02.印刷機器による違い
- 03.印刷環境による影響
- 04.用紙によって、色味や発色は異なる
- 05.サンプルを取り寄せよう
01.同じ色は作れない?
突然ですが、美術の授業で絵の具を使用した時に「同じ色は一度に塗りきった方がいいよ」と言われたことはありますでしょうか。
これは『同じ色をつくることは難しいから、次に違う色にならないよう一度に塗ってしまいなさい』というアドバイスです。
例えば、あなたは数日前に「青と白と黄色」を混ぜた色で空の絵を描いていました。
塗り残しがあるため、また同じ色を作らなければいけませんが、以前の絵の具の割合を正確に覚えているでしょうか?
- ・チューブから感覚で絵の具を出して直感的に作った色
- ・青色を出しすぎてしまったため、急いで他の色を足して調整した色
- ・別のパレットから拝借した色を混ぜて作った色 など
この他にも水の配合量や、絵の具のメーカーなど、様々な要因で色は成り立っています。
これらの条件を前回と一致させて同じ色をつくることは、大変な作業ではないでしょうか。
02.印刷機器による違い
『印刷機は機械なんだから、数値で調整すれば簡単に同じ色になるでしょ?』と思われるかもしれません。
ところが印刷機器の種類によって、得意な印刷や表現しやすい色が違うなど個性があります。
また機械が使用しているインク・トナーのメーカーごとに、基準となる『CMYK』の色が異なります。
そのため絵の具で同じ色を作るのと同じように、機械で色の調整を行うことも意外と大変な作業なんです。
誤解を恐れずに申し上げますと、A社とB社が同じ印刷機器、同じインクを使用していたとしても
印刷環境や、機械の調整値、作業フローの違いによって、100%まったく同じ色になることはありません。
A社とB社を比較した時に、どちらかの印刷が青みがかって見えたとしても、その会社の印刷機器の問題ではなく
上記で述べた、さまざまな条件に起因する仕上がりの違いである可能性が大きいのです。
また『オンデマンド印刷とオフセット印刷』では作成方式の違いにより、印刷の仕上がりが異なります。
03.印刷環境による影響
印刷を行う環境の温度・湿度による影響によっても印刷の品質は変化します。
弊社オンデマンド印刷では、静電気を利用して用紙にトナーを転写し、熱と圧力をかけることでトナーを定着させています。
空気が乾燥していると静電気が起きやすくなり、機械内部で用紙の向きがズレてしまったり
用紙が曲がりやすくなる、ムラになりやすいなど、印刷品質に影響がでてしまいます。
水は電気を通しやすいため、空気中の水分量が多いほど、静電気が逃げていき帯電しにくくなります。
一般的に湿度が『60~65%』以上の状態が静電気が発生しにくいとされており、名刺良品では湿度を日々管理しております。
また用紙自体も湿度・温度の変化により、ヨレやすくなったり、印刷が乗りにくくなるなどの影響がでます。
10℃以上27℃以下での保管が良いとされていますが、温度よりも湿度による影響が大きいため、特に湿度に気を遣っています。
しかし天候や気温は一定ではなく、どうしても調整できる範囲には限度があります。
『昨日はカラッと晴れた真夏日並の気温だったのに、今日は肌寒いうえに雨模様』なんて急激な変化も起こります。
そのため用紙の状態、機械のコンディションを万全にしていても、毎日印刷される色味は微妙に変化してしまいます。
『以前と同じデータなのに、仕上がりの色が微妙に違う』という現象は、印刷を行う環境が毎日異なるために起こります。
印刷の色味は不変的なものではなく、特性上どこの印刷会社でも毎日同じ色を出すことは難しいです。
印刷所によっては仕上がりの色を調整する『色校正』や、印刷色を指定する『特色印刷』というサービスがあります。
こちらに関しては、次回の記事で詳しく紹介させていただきます。
04.用紙によって、色味や発色は異なる
印刷する用紙によって色や質感が異なるため、同じデータを印刷した場合でも、発色や色の乗りやすさが違います。
インクジェットプリンターや、コンビニのネットプリントなどで印刷したものと、実際の印刷用紙では色調が異なりますので
色味の確認を行うのには向いていません。レイアウトや文字・画像サイズの確認に留めておくことをおすすめいたします。
一般的にポスターや雑誌の表紙などに使用されているコート紙は、用紙表面が塗工されており平滑な(凹凸が少ない)ため
発色のいい仕上がりになります。エンボス紙などの凹凸がある用紙は、凹み部分に印刷が乗りにくくムラになりやすいです。
用紙ごとの特徴や傾向を掴んでおくと用紙選びでの失敗を防ぐことができ、より良い仕上がりを目指すことが可能です。
用紙の種類による発色の違いについてはこちらのブログで紹介しています。
05.サンプルを取り寄せよう
ほとんどの印刷会社では、会社ごとに基準となる色の見本や、印刷サンプルが用意されています。
まずはサンプルで色の出力、印刷の乗り具合を確認すると、完成イメージと実際の仕上がりの食い違いを軽減することができます。
必要に応じて、入稿データの色を調整すると失敗が少なくなります。
以下のボタンから、名刺良品のサンプルを申し込むことができますのでよろしければご活用ください。
※写真では用紙の色味、印刷の発色は再現できません。弊社、印刷用紙サンプルのイメージとなりますのでご注意ください。
データの色は変えられないので、印刷でどうにかしてほしい! という場合は
次の記事で紹介する予定の『色校正・特色印刷』がお役に立てるかと存じます。
次回ブログ更新までお待ち下さい。